（独）森林総合研究所は11月1日、スギ（杉）の落葉が分解の過程で大気中の窒素をたくさん固定する特異的な現象を示すことを見つけたと発表した。
　窒素固定は、森林へ養分を供給する経路の一つ。スギ落葉の分解過程における窒素固定活性は、コナラやアカマツの落葉より50倍以上も高いことが分かったという。
　我が国の人工林面積の約43％にスギが植えられている。これは、森林総面積2,510万ha（ヘクタール、1haは、10,000㎡）の17.8％にあたる。同研究所では、更に研究を進めスギ落葉による窒素固定がスギ林の成長にどの程度寄与しているかを評価していくことにしている。
　スギの落葉が分解していくある段階で窒素固定菌の増加により窒素固定が活発になることは知られていた。森林総研は、その現象が他の樹種でも同様に起きるか不明だったことから、日本の低い山地で普通に見られるコナラ、アカマツの落葉とスギ落葉の窒素固定活性の比較を行った。
　窒素固定活性の測定は、リターバックと呼ばれる細長いナイロン製の網袋にスギ、コナラ、アカマツの落葉をそれぞれ別々に詰めて茨城県・城里町のスギ林と落葉広葉樹林の地面に設置（写真）、定期的に回収してそれぞれの窒素固定活性を測定するという方法で実施した。その結果、スギ落葉の窒素固定活性は、設置後19カ月目に同3カ月目の約200倍に達したのに対し、コナラ、アカマツの落葉は1.3～4.4倍にしかならず、50倍以上の違いがあることが判明した。
　この結果から同研究所は、「スギ落葉における窒素固定が森林の生産性維持と持続的利用に活用できることが分かった」といっている。

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