「小型実証衛星」の運用終了と成果を宇宙開発委に報告
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月22日、昨年1月に打ち上げた「小型実証衛星1型(SDS-1)」の運用終了と、その成果の概要を同日開かれた宇宙開発委員会に報告したと発表した。
 SDS-1は、9月8日に運用を終了。報告によると、同衛星は計画していた実験を全て達成し、追加した軌道上実験にも成功、当初計画を上回る成果を挙げた。
 SDSは、宇宙用の機器・部品の機能を実際の宇宙環境下で事前に実証したり、総合的なシステムとして検証するための専用小型衛星。SDS-1は、その第1号で、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」の打ち上げに相乗りした副衛星7機の1つとして2009年1月23日、同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から「H-ⅡA」ロケット15号機で打ち上げられた。
 SDS-1は、70cm×70cm×60cmの箱型で、質量は約100kg。傾斜角約98度、高度約660kmの地球軌道を周回した同衛星は、3種類の実験装置で実験した。具体的には、[1]2つの新機能を含む4つの通信機能を持つ小型・低消費電力の次世代通信中継器実験では、データ中継衛星「こだま」や地上ネットワークを含む総合システムでの実証実験など行い、地上局~衛星間の距離測定にも成功した。
 また、[2]ESA(欧州宇宙機関)が宇宙機用に開発したネットワーク規格「スペースワイヤ」を発展させた次世代ネットワーク型データ処理技術の実証実験では、スペースワイヤ用の「スペース・キューブ2」と呼ばれる宇宙用計算機が使えるメドを得た。このデータ処理技術を用いた超高感度加速度計による重力波検出の動作原理・性能評価も実施した。
 更に、[3]JAXA開発の64 ビットMPU(マイクロ・プロセッサー・ユニット)などを用いた高性能計算機ボードの軌道上動作を実証した。

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当初計画上回る成果を挙げて運用を終えた「SDS-1」(提供:宇宙航空研究開発機構)