ミクロな領域の力学特性測る新試験装置を開発
:産業技術総合研究所/豊橋技術科学大学/三弘

 (独)産業技術総合研究所は9月21日、豊橋技術科学大学、(株)三弘と共同で薄膜などのミクロな領域の硬さなど各種の力学特性を測定する新タイプの試験装置を開発したと発表した。
 新試験装置は、「顕微インデンター」と呼び、透明なダイヤモンド、サファイアなどで作った微小な圧子(測定子)を測定する試料(材料)に押し付け、透明な圧子に光を通して光学顕微鏡でその様子をその場観察。ミクロ材料の硬度、ヤング率(弾性率)、降伏値(弾性限界)などの各種力学特性を割り出すというもの。共同開発者の三弘が商品化する。
 近年、薄膜や微小体などの力学特性測定のニーズが高まり、「計装化インデンテーション」と呼ばれる試料の表面に微小な圧子を圧入する押し込み深さ計測型の力学特性試験法が注目され、普及している。
 新試験装置は、計装化インデンテーションの新しいタイプで、圧子に透明な材料を使うところがミソ。これまでの微小圧子は、試料表面に押し付けて凹みを付けるだけの機械部品だった。

 それに対し、新試験装置の圧子は、「光学力学結合型圧子」で、透明な圧子を試料表面に圧入すると同時に、圧子内に光を透過させ光学顕微鏡で観測、圧子と試料の接触面積の変化を定量的に測定するという方式。「圧子の先端形状や接触の速度などを選ぶことで、弾性・弾塑性・粘弾性などの各種の力学物性をこの試験装置一台で定量評価できる」と同研究所はいっている。

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新試験装置の外観(提供:産業技術総合研究所)