宇宙帆船「イカロス」、太陽光圧だけで姿勢を制御することに成功
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月23日、今年5月に“宇宙ヨット”を目指し打ち上げた宇宙帆船「IKAROS(イカロス)」の姿勢を太陽光圧の力だけで制御する実験に成功したと発表した。長期間燃料を用いずに宇宙を航行する技術の確立に向けて一歩前進した。
 「イカロス」は、太陽からの光の圧力を超薄膜でできた帆に受けて宇宙を帆走する“宇宙ヨット”の実験機。今年5月21日に金星探査機「あかつき」と相乗りして「H-ⅡA」ロケット17号機で同機構の種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から打ち上げられた。帆は一辺14mの正方形で、厚さわずか0.0075mmのアルミ蒸着ポリイミド樹脂でできている。この膜面に、太陽光の反射率を変えて姿勢制御を行う液晶デバイス(姿勢制御デバイス)や、厚さ0.0025mmの薄膜太陽電池などが取り付けてある。
 「イカロス」は、帆だけで帆走できると共に、電力でイオンエンジンを駆動して航行(ソーラー電力セイル)することもできるように設計されており、これらの機能を世界に先駆けて実証することが同機の狙い。
 「イカロス」は、地球から約800万㎞離れた宇宙空間に放出され、6月10日までに帆が予定通り展開されたことと、薄膜太陽電池が正常に発電していることなどを確認している。今回は、液晶デバイスの太陽光反射率を制御して、燃料は一切使わずに太陽光圧だけで姿勢制御を試み、想定通りの制御性能を確認したという。

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