(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と岩手医科大学は7月2日、同機構の超高速インターネット衛星「きずな」を介して東京、岩手、沖縄の3つの病院を結び、それぞれの医師が同じ顕微鏡画像を見ながら病理診断を行う実験に成功したと発表した。
実験は、岩手医大と東京の国際医療福祉大学三田病院、沖縄の琉球大学を「きずな」で結び、医師が互いの顔を画面で見て、話合いながら細胞組織の顕微鏡画像をネットワーク経由で観察する方式で行われ、遠く離れた場所からでも患者ががんかどうかの診断ができることを確認した。
病理診断は、患者の体から摘出した組織や細胞を顕微鏡で観察する診断のこと。我が国では、病理医の数が少なく、特に地方に少ないことが問題になっている。
今回の実験は、肺がんの細胞画像などを岩手医大の大型コンピューターに保存し、これに「きずな」を介して三田病院と琉球大学の医師陣がアクセスする形で行われた。
岩手医大とJAXAは、今回の結果から「『きずな』のような高速通信衛星を利用した遠隔病理診断は、画質や操作性など機能にも問題がなく、その有効性が検証された」と見ている。
「きずな」の通信エリアは、日本だけでなく、アジア太平洋地域全体をカバーしているので、遠隔病理診断は日本だけでなくアジア諸国にも役立つものと期待される。
No.2010-25
2010年6月28日~2010年7月4日