次世代の集光型太陽光発電システムで日米共同実証実験を実施
:産業技術総合研究所/米国立再生可能エネルギー研究所

 (独)産業技術総合研究所は6月29日、米国エネルギー省(DOE)の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)と共同で、集光型太陽光発電(CPV)システムの実証実験を2011年1月から始めると発表した。快晴率が極めて高く、乾燥している米国コロラド州のオーロラ市と、快晴率が高く、温暖湿潤な岡山市に同一のCPVシステムを今年中に設置、来年初めから最長5年間運転し、気候の違いが発電性能に及ぼす影響を比較する。
 集光型太陽光発電システムは、レンズや鏡で太陽光を通常の100~500倍程度集め、利用波長範囲の異なる化合物系半導体太陽電池を積み重ねた小面積の多接合型太陽電池に照射して発電するシステム。この方式は、惑星探査機など宇宙用に使われる高性能だが非常に高価な太陽電池を、地上でも安価に使えるようにしようと案出されたシステムだが、快晴率や太陽光スペクトルの影響を受ける。
 そこで、今回の実証実験では、日米独3カ国で製造された性能の異なる3種の多接合型太陽電池を搭載し、両サイト間での発電量の違いを分析することで、最適設計を明らかにする。
 実験では、500倍集光レンズ付き太陽電池2,400個からなる最大出力約15kWのCPVシステムを日米両サイトにそれぞれ2基ずつ設置する。
 使用する太陽電池モジュールの発電効率は、28%。この発電効率は、一般的な結晶シリコン系太陽電池モジュールの約2倍にあたる。
 実験では、従来型の結晶シリコン系太陽電池を用いた太陽光発電システムも併設、両システムの発電量と気候データを取得して比較し、 CPVシステムの導入に適した気候条件を明らかにすると共に、最適導入場所の探索も行う。
 日本は、遊休な平地に乏しいため、大規模な太陽光発電システムの適地が少なく、これまでの太陽光発電システムの普及は住宅用中心に進んできた。だが、CPVシステムは、支柱1本で据え付けられるので基礎に要する面積が小さく、平地だけでなく丘陵地にも設置できる。今回実験を行う岡山サイトは、丘陵地にあり、丘陵地への設置工法も実証する。
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