(独)宇宙航空研究開発機構は6月28日、セイル(帆)を使って宇宙を進む“宇宙ヨット”を目指し打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」に搭載した液晶デバイスが正常に作動することを確認したと発表した。 「イカロス」は、超薄膜でできた一辺が14mの正方形のソーラーセイルで太陽光を受け、その太陽光の圧力(光子圧)を推力にして燃料なしで宇宙空間をヨットのように進むことを目指し今年5月21日に打ち上げられた。 液晶デバイスは、正方形のソーラーセイルの4つの辺の各外周側に取り付けてある薄膜デバイスで、通電すると表面の反射特性が変わって入射する太陽光が全反射(鏡面反射)され、その光子圧で推力が生まれる仕組み。左右両側の液晶デバイスの片側にだけ通電すれば、左右の推力の差から燃料を使わないで姿勢制御(軌道制御)が行える。 液晶デバイスに通電する電気を作り出すセイル表面に貼り付けたアモルファス・シリコン太陽電池の発電には、すでに成功しており、セイルに風ならぬ太陽光を受けて宇宙を進む準備がこれでほぼ整ったことになる。 同機構は、「光子圧を用いた加速及びそれによる軌道制御を世界で初めて実証し、ソーラーセイルによる航行技術の獲得を目指す」といっている。
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宇宙を行く「イカロス」の想像図(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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