日本各地でチリ地震津波による地盤の傾斜変化をキャッチ
:防災科学技術研究所

 (独)防災科学技術研究所は3月18日、南米のチリで2月27日(日本時間)に発生した地震で生じた津波により、日本の太平洋岸全域で地盤の傾斜変化(地盤の傾きの変化)が観測されていたことが分かったと発表した。
 日本全国に設置している同研究所の高感度地震観測網「Hi-net」による観測結果から明らかになったもの。
 津波などによる潮位の変化によって地盤の傾斜に変化が生じることは、50年前のチリ地震津波の時にも観測されているが、今回のように全国で傾斜変化が捉えられたのは初めて。
 「Hi-net」は、地下数百mの地下に高感度地震計や傾斜計(高感度加速度計)などの観測計器を設置し、観測データをリアルタイムでつくば市(茨城)の同研究所と、東京の気象庁に送っている地震の自動観測システムで、微小地震の微弱な振動まで計測できる。
 今回チリ中部で発生した地震(マグニチュード8.8)の津波は、地震翌日に日本列島に到着、岩手県の久慈や高知県の須崎で1.2mの潮位変化が観測されたが、北海道から九州までの太平洋沿岸部の「Hi-net」の傾斜計は津波によると考えられる地盤の傾斜変化を捉えていた。
 その変化は、最大だった北海道の観測点で1km先の地面が0.4mm上下する程度だった。場所によっては、24時間以上も続いたという。

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