バイオ技術使い花びらの数が多い多弁咲きシクラメンの開発に成功
:産業技術総合研究所/北興化学工業

 (独)産業技術総合研究所は3月16日、北興化学工業(株)と共同で、バイオテクノロジー(遺伝子工学)を使って花びらの数が多い多弁咲きシクラメンを開発することに成功したと発表した。
 シクラメンは、冬の代表的な花。花びらの数は5枚で、一重咲きだが、突然変異で得た花びら10枚の八重咲き品種も最近登場してきている。
 しかし、突然変異を利用する育種法では、八重咲き品種を効率的に作り出すことが難しい。また、バラやカーネーションのような「多弁咲き」と呼ばれる花びら数の多いシクラメンを交配や突然変異で作り出すことはできないと見られている。
 今回の新シクラメンは、「クレスティ法」という遺伝子組み換え技法を使って作った。シクラメンから、雄しべ・雌しべ作りをコントロールしている遺伝子を取り出し、クレスティ法を使って雄しべと雌しべを花びらに変えていく方法を開発。花びらが10枚の八重咲きや、雄しべ・雌しべが無く、花びらがバラやカーネーションのように繰り返し現れるこれまで無かった多弁咲きシクラメンを作ることに成功した。
 雄しべを花びらに変えてしまうので遺伝子組み換え植物で問題になる花粉の飛散が抑えられるのも特徴の一つ。
 この手法で得られるシクラメンには、種子が採れない難点があるが、組織培養技術の応用で苗の増殖ができるため解決できるという。
 今のところ花の色は、ピンク一色だが、北興化学が様々な色の多弁咲きシクラメンをこれから開発していく計画。
 北興化学は、「多色の多弁咲きシクラメンの製品化を目指す」としている。

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新開発の多弁咲きシクラメン(提供:産業技術総合研究所)