人工衛星「きずな」使い4天体観測所からの観測データの準リアルタイム処理に成功
:宇宙航空研究開発機構/国立天文台

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立天文台は3月15日、JAXAの超高速インターネット衛星「きずな」経由で東京・三鷹の国立天文台に国内4ヵ所の天体観測所から観測データを集め、すぐに解析処理する準リアルタイム処理の実験に成功、これまで1週間以上かかっていた観測の成否判断を5分以内で行なえることを確認したと発表した。
 国立天文台は、水沢(岩手)、入来(鹿児島)、小笠原(東京)、石垣(沖縄)の4観測所に直径20mの電波望遠鏡を配置、約1,000個の銀河系天体の位置を精密計測するプロジェクトを進めている。その計測では、4観測所が同一天体を同一時刻に観測し、そのデータを三鷹に集めて解析する必要がある。
 しかし、入来と小笠原では広帯域ネットワーク整備が困難なため、それぞれの観測データは磁気テープで三鷹に送られ、解析が済むまで1週間以上かかっているのが実情。
 これでは再観測が必要になっても、その機会を逸する恐れがあり、速やかな解析処理を求めて今回の実験となった。
 実験では、「きずな」用アンテナ既設の小笠原ではそれを使用、入来には河搬型「きずな」用アンテナを設置、水沢と石垣は既設回線を用いて、それぞれの観測データを東京・小金井の(独)情報通信研究機構に送り、そこから国立天文台に地上回線で伝送、データ解析処理を行なった。
 3月4、5の両日に実験を実施した結果、各観測所と国立天文台との接続性検証では「きずな」利用で毎秒70メガ(1メガは100万)ビットの通信伝送が出来ることを確認した。これは、既存回線利用の場合の45倍以上の速さにあたる。
 観測データは、5分以内に解析でき、観測・研究の効率化に大きな効果があることを実証した。

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