(独)国立環境研究所と環境省は12月13日、2010年度(平成22年度)のわが国の温室効果ガス排出量の速報値を発表した。
それによると総排出量は、12億5,600万t(二酸化炭素換算)であった。これは、京都議定書の規定による基準年の総排出量(12億6,100万t)と比べると、0.4%の減少となる。しかし、2009年度の総排出量と比べると、産業部門をはじめとする各部門のCO2(二酸化炭素)排出量が増加したことなどにより、3.9%増加している。
京都議定書の規定による基準年は、CO2、CH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)は1990年度、HFCs(ハイドロフルオロカーボン類)、PFCs(パーフルオロカーボン類)、SF6(六フッ化硫黄)の各代替フロンなどについては、基準年を1995年とすることになっている。
前年度(2009年度)と比べて総排出量が増加した原因としては、2008年に発生した「リーマン・ショック」(米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が引き金となった世界的な金融危機、世界同時不況)後の景気後退からの回復の中で、製造業などの活動量の増加に伴い産業部門からの排出量が増えたこと、猛暑厳冬により電力消費が増加したこと、などがあげられる。
各部門における2010年度の温室効果ガスの排出状況の内、CO2の排出量は、産業部門(工場など)が4億2,100万tで、基準年と比べると12.7%減少、前年度と比べると8.5%増加した。
運輸部門(自動車・船舶など)では、2億3,210万tで、基準年と比べ6.8%増加、前年度より0.9%増加した。
業務・その他部門(商業・サービス・事業所など)も2億1,660万tで、基準年より31.9%、前年度より0.5%それぞれ増加した。
そのほか、家庭部門は、1億7,260万tで、基準年より35.5%、前年度より6.8%増加、エネルギー転換部門(発電所など)も8,010万tで、基準年より18.0%、前年度より0.1%増加した。
一方、非エネルギー起源のCO2排出量は、6,870万tで、基準年より19.2%、前年度より0.7%それぞれ減少した。
No.2011-50
2011年12月12日~2011年12月18日