(独)物質・材料研究機構は12月16日、(株)ミツバと共同で廃熱から電気を生み出す材料の一つとして期待されているマグネシウムとケイ素の化合物「ケイ化マグネシウム」の粒子を安価に作る簡便な新製法を開発したと発表した。
棒状の導体の一端を熱して両端に温度差をつけると、温度差に比例して電気が発生する。この現象は、ゼーベック効果と呼ばれ、古くから知られている現象だが、この効果を利用して廃熱から電気を得る「熱電発電」がこれからの廃熱利用の一つとして注目されている。
中でもマグネシウム2原子とケイ素1原子が結びついたケイ化マグネシウムは、軽くて、資源的に豊富で、毒性がなく、熱電変換性能が良いことから廃熱を利用する熱電発電の有力材料と見られている。
しかし、ケイ化マグネシウムの合成は、マグネシウムの沸点(1,090℃)とケイ化マグネシウムの融点(1,085℃)とが近すぎるため、非常に難しいという難点を抱えていた。
新製法は、その壁を突破したもので、マグネシウムの塊とケイ素粉末をカーボン製ボードに入れ、電気炉中でマグネシウムだけが溶ける650~940℃に加熱するという簡便な方法。これだけで、溶融したマグネシウムがケイ素粒子内に含浸して不純物の混入や酸化のないケイ化マグネシウムの粒子が得られる。マグネシウムの粉末を使わないので粉塵爆発の危険が無く、原料のケイ素粉末の粒径を調整することで得られるケイ化マグネシウム粒子の粒径制御もできる。
同機構では、これまでにない簡便かつ実用的なケイ化マグネシウム粒子の製造法と位置づけ、製造価格を「現行の3分の1以下に抑えることが可能」といっている。
No.2011-50
2011年12月12日~2011年12月18日