相変化メモリーが巨大磁気抵抗効果示すことを発見
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月14日、半導体メモリーの一種「相変化メモリー(PCRAM)」が常温で巨大な磁気抵抗効果を示すことを発見したと発表した。
 磁気抵抗効果は、磁気の変化により強磁性薄膜を流れる電流が変化し、抵抗値が変わる現象のこと。1987年に発見され、発見者は2007年ノーベル物理学賞を受賞している。
 PCRAMは、電源を切っても内容が消えない不揮発性の固体メモリー。現在不揮発性メモリーとして広く利用されているフラッシュメモリーより高速で書き込みできる特徴があることから次世代素子の一つとして期待されているが、PCRAMが常温で巨大な磁気抵抗効果を示すことを見つけたのは世界でも初めてという。
 従来のPCRAMは、ゲルマニウム・アンチモン・テルルからなる3元合金の薄膜を使っているが、それをゲルマニウム・テルル合金と、アンチモン・テルル合金を積層した超格子型と呼ばれる構造の2元合金薄膜にして今回の成果を得た。コバルトなど磁石の性質を持つ磁性元素は一切入れずにPCRAM素子を作り、磁場による抵抗変化を室温で測定したところ、0.1テスラの磁場によって抵抗値が2,000%以上変化する巨大磁気抵抗効果を記録した。
 産総研は、この常温巨大磁気抵抗効果を利用すれば「将来、多値機能を持った全く新しい超高密度メモリーが実現できる」ものと期待している。
 今のメモリーは、情報を0と1の二進法で記録、転送している。それを0、1の他に2、3といった三進法や四進法で情報処理するのが多値機能で、これが実現すれば情報の転送速度、メモリーの記録密度を格段にアップできる。

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