(独)産業技術総合研究所は10月11日、(株)SIJテクノロジ、(株)イオックス、日本特殊陶業(株)、(独)大阪市立工業研究所と共同で、線幅5μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)の銅配線を作ることができる超微細配線形成技術を開発したと発表した。 電子部品で現在特に小型化、微細化を求められているのがIC(集積回路)パッケージ。複数のICチップを樹脂で固めて塵(ちり)などから守るようにしたのがICパッケージで、各ICチップと外部とを電気的に接続するための微細な配線が内部に多く組み込まれている。 そのICパッケージの微細配線は、年を追うごとに細くなっており、2018年頃には現在の3分の1にあたる10μm以下の配線ピッチが世界標準になると予測されている。 新技術は、産総研が保有する極低酸素還元技術、超微細インクジェット技術と、大阪市立工研などが開発した銅ナノ粒子インクを用い、インクジェット方式による直接描画で線幅5μmの低抵抗の銅配線を実現したもの。 得られる線幅5μmの超微細銅配線がどれだけ電気を通し易いかを示す配線抵抗率は、8.1μΩ・cmを記録している。この値は、インクジェットによる銅配線形成での「最も優れた値」だという。 金属配線は、蒸着などで金属薄膜を作った後、配線パターンを描画し、その部分だけを残し他の不要な部分をエッチングにより除去する方法で現在は作られている。それを根底から変える道が開けたことになる。 この研究成果は、次世代ICパッケージだけでなく、携帯電話をはじめとする小型情報通信端末向け超小型プリント基板などへの利用が期待される。
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試作した銅配線パターンの拡大写真。線幅は5μm(提供:産業技術総合研究所) |
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