超伝導磁石で世界最高の磁場強度24テスラを達成
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は9月7日、酸化物系高温超伝導線材を利用して超伝導磁石単独では世界最高の24T(テスラ、1Tは1万ガウス)の磁場を発生させることに成功したと発表した。医療用診断装置やたんぱく質の構造解析、無機材料の分析などに用いられる核磁気共鳴(NMR)装置の感度・分解能の向上につながるほか、小型化によって超伝導磁石の冷却に必要な液体ヘリウムの使用量削減による運転コストの低減などに役立つと期待している。
 同機構超伝導線材ユニットの松本真治主任研究員らが、(株)神戸製鋼所の子会社ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー(株)と共同で成功した。
 最高磁場を実現した磁石は、通常の金属系超伝導線材で作ったコイルの内側に銅酸化物系の高温超伝導線材で作ったコイルを組み込んだ構造。内側のコイルは、内径5cm、外径約11cm、高さ約9cm。外側の金属系コイルを液体ヘリウム中で極低温に冷やして17.2Tを発生させ、その中で内側の酸化物系コイルに電流を流したところ24Tの磁場が発生することを確認した。
 これまで銅を使った大型の常伝導コイルに酸化物系超伝導コイルを組み込むなどの方法でさらに高強度の磁場を発生させた例はあるが、大幅な小型化が可能な超伝導磁石だけでこれだけ高い強度を実現できたのは初めてという。
 今回の成果について、研究グループは「銅酸化物系高温超伝導線材の持つ臨界電流密度や機械的強度など優れた性質を超伝導磁石として有効に活用することが可能になった」としている。

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世界最高の24Tを発生させることに成功した超伝導磁石(提供:物質・材料研究機構)