(独)産業技術総合研究所は6月12日、次世代超LSI(大規模集積回路)用の新接合技術を開発したと発表した。
超LSIの加工寸法は、微細化の一途をたどり、2016年にも搭載するトランジスタの最小線幅が16nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の「16nm世代」に入ると見られている。
新接合技術は、超LSIの基本素子の一つMOS(金属酸化膜半導体)トランジスタのソース電極とドレイン電極を形成する技術。
ソースは、電子の源、ドレインは、電子の放出口。ソースからドレインへの電子の流れをもう一つのゲート電極にかける電圧で制御し、スイッチングを行うのがMOSトランジスタで、ソース電極、ドレイン電極は「シリコン半導体ソース・ドレイン接合」という方法によりシリコン内にリンやヒ素などの不純物を注入して形成している。
産総研の新接合技術は、「金属ソース・ドレイン接合」といい、ニッケルとシリコンの反応により「2ケイ化ニッケル(NiSi2)」と呼ぶ合金製のソース電極、ドレイン電極を形成するというもの。
既存のシリコン半導体ソース・ドレイン接合は、不純物をイオン注入し高温で熱処理するため、特性がばらつき易く、16nm世代超LSI開発ではnmレベルで接合位置を制御できる技術の開発が必要と見られている。
新開発の金属ソース・ドレイン接合は、その課題に応えられるとし、「極低抵抗の金属ソース・ドレイン接合の位置をサブナノメートルレベルで制御できる」と同研究所はいっている。
No.2011-23
2011年6月6日~2011年6月12日