大震災で停止したフォトン・ファクトリーの復旧にメド
:高エネルギー加速器研究機構

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)は5月25日、東日本大震災で停止した“光の工場”フォトン・ファクトリー(放射光科学研究施設、茨城・つくば市)からの放射光が同施設の実験機器にまで届き、実験再開の見通しがついたと発表した。今後、機器の調整に入って夏前までに終え、今秋から本格的な放射光利用実験を再開したいとしている。
 放射光は、光速近くまで加速した電子などの荷電粒子を磁場中で曲げると接線方向に放出される可視光からX線までを含む強い光。“夢の光”とも呼ばれ、物理学、化学、生物学、農学、薬学、医学など広範な分野への利用が研究され、フォトン・ファクトリーには国内外から年間3,400人を超える研究者が実験に訪れている。
 そのフォトン・ファクトリーが東日本大震災では、大きな被害を受け、磁石が落下し、真空のパイプのおよそ半分が大気に曝されたほか、真空ポンプなどが破損した。
 同機構は、大震災直後からこれら被災箇所の修理・復旧に努めてきたが、5月16日に直線加速器からの電子ビームがフォトン・ファクトリー・リングと呼ばれる周長187mの放射光を発生させる楕円形加速器に入射され、同23日に放射光が実験装置と繋がるビームライン中を通過していることが確認できたという。

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