赤外線天文衛星「あかり」に電力異常発生
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月24日、赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)に電力異常が発生、搭載するバッテリーの機能低下で、太陽電池に太陽光が当たらない時間帯の搭載機器への電力供給ができなくなったと発表した。原因は、まだ不明。JAXAは、運用継続に必要な対策を試みている。
 「あかり」は、直径約67cmの反射望遠鏡を積んだ我が国初の赤外線天文観測専用衛星で、平成18年2月に同機構の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)から打ち上げられた。同年5月から開始した本観測で得た情報を基に作成した「赤外線天体カタログ」は、約130万の赤外線を発する天体が掲載されており、平成22年3月の公開開始から今年5月初旬までに世界の研究者から約23万件のアクセスを集めていた。
 「あかり」は、最低1年、目標3年の運用寿命を過ぎても一部運用を続けてきたが、日本時間の今年5月24日朝、バッテリーの蓄電量低下により搭載観測機器や通信機器の電源が切れていることが受信データから判明。その後は、太陽光が太陽電池に当たっている時しか搭載機器類に電力が送られていない。
 地球のほぼ南北極を通る高度約750kmの円軌道を飛行している「あかり」は、現在1周約100分の地球周回飛行の内の約20分ほど太陽光の当たらない日陰部分を飛行しているが、8月頃には日陰の無い軌道に入る見込み。

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赤外線天文衛星「あかり」(提供:宇宙航空研究開発機構)