大震災で運用制限されているスパコン利用者に朗報
―米国のスパコン、ネット通じ日本の研究陣に無償で開放

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)と筑波大学は5月24日、東日本大震災に伴う電力不足によって運用が大きく制限されている国内のスーパーコンピューターの計算能力を補うため、米国の研究組織がフェルミ国立加速器研究所などのスパコンを日本からインターネットを通じて無償利用できるようにする支援を開始したと発表した。普段は、激しい国際競争が繰り広げられている素粒子研究分野だが、米国の研究者らが日本への支援を呼びかけていた。
 計算機シミュレーションによって素粒子研究の一分野である「量子色力学」の研究を進める米国の組織「USQCDコラボレーション」が支援を提案していたもので、日本の同様の組織である「格子場理論フォーラム」との間でその具体化について話し合いを進めていた。その結果、フェルミ国立加速器研究所とトーマス・ジェファーソン国立加速器研究施設、ブルックヘブン国立研究所が持つスパコンの計算能力のほぼ1割に相当する22テラFLOPS(毎秒22兆回の浮動小数点演算)分を、約半年間にわたって日本側に無償で提供することが決まり、5月19日から日本での利用が始まった。
 今回の支援について、日本側は「この分野の研究コミュニティーの国際的な結びつきの強さを示すものだ」として、今後さらに協力関係が強まるものと期待している。

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