(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月6日、同日開催された宇宙開発委員会に同機構の「平成23年度計画」を報告したと発表した。
この平成23年度計画は、中期目標、中期計画、平成23年度当初予算に従って策定したもので、事業の実施計画や業務運営の効率化などについて述べている。
この内、主な実施計画の概要としては、(1)H-ⅡAロケットによる水循環変動観測衛星(GCOM-W1)の打ち上げ、(2)H-ⅡBロケット3号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機の打ち上げ、(3)古川宇宙飛行士のISS(国際宇宙ステーション)長期滞在、(4)米国の全球降水観測(GPM)衛星に搭載する2周波降水レーダー(DPR)の製作試験を終えNASA(米国航空宇宙局)に引き渡す、ことを挙げている。
主な実施計画の内、(1)GCOM-W1の打ち上げは、海面水温、降水量、土壌水分、積雪量などの地球の水循環に関する物理量の計測により、温暖化・気候変動の影響の把握に貢献することを目的とする。また、環境観測技術衛星(ADEOS-Ⅱ)により得られたセンサー技術(高性能マイクロ波計)の維持・向上を目指す。
(2)「こうのとり」3号機の打ち上げでは、ISSに接続する日本の宇宙実験棟「きぼう」の運用・利用に必要な物資を輸送、補給すると共に、将来の軌道間輸送や有人システムに関する基盤技術の習得を図る。
(3)古川宇宙飛行士のISS長期滞在については、5月未頃にロシアのソユーズ宇宙船に搭乗して打ち上げ、約6カ月間のISS滞在を予定している。また、医学の専門性を持ったISSフライトエンジニアとして、宇宙医学の軌道上実験や、「きぼう」を含むISSの各施設の運用や科学実験、ISSのアーム操作を行う。
その他の事業としては、▽金星周回軌道投入に失敗した金星探査機「あかつき」の原因調査と次の投入機会に向けた運用を行う、▽小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルから回収した試料の分析について国際応募を行う、▽東日本大震災への対応については、影響が明確になった後、必要に応じて年度計画の見直しを行う、などを挙げている。