(独)土木研究所は3月10日、(独)産業技術総合研究所、月島機械(株)、三機工業(株)と共同で次世代の下水汚泥焼却炉を開発、東京都・下水道局の下水汚泥焼却場に採用されることが決まったと発表した。
この新焼却炉は、「過給式流動燃焼システム」といい、従来の下水汚泥流動焼却炉にターボチャージャー(過給器)を組み込み完成したもので、大幅な省エネルギーと温室効果ガスの低減を実現した。
下水汚泥の発生量は、年々増加しており、その多くが焼却処理されている。しかし、汚泥焼却には、多量の重油、都市ガス、電力を必要とするため、省エネ化が課題となっている。また、下水汚泥は、窒素含有量が極めて高く、焼却時に多量のNOx(窒素酸化物)が発生し、その低減化も求められている。
新システムは、下水汚泥を加圧条件下で燃焼するようにして炉本体をコンパクトにし、燃焼時の排ガスでターボチャージャーを駆動させ、得られる圧縮空気を燃焼空気に使う。従来型に比べ電力消費量を約40%削減し、温室効果ガスのN2O(亜酸化窒素)排出量を約半分にできるという。
既に、北海道・長万部町の終末処理場で1日処理量5t規模の実証プラントが稼動しており、2,000時間以上にわたる安定運転を記録している。
東京都・下水道局が採用を決めたのは、1日処理量300tの実用プラントで、葛西水再生センター(江戸川区、葛飾区)に建設し、平成25年度末運転開始の予定。建設工事は、月島機械が受注した。