危険ガスを遠隔で検知するシステムの開発に成功
:産業技術総合研究所/日本電信電話/東京大学/スペクトルデザイン

 (独)産業技術総合研究所は3月8日、日本電信電話(株、略称:NTT)、東京大学、(有)スペクトルデザインと共同で、火災現場などで発生する危険なガスを現場に行かず離れた場所から遠隔で検知するセンシングシステムを開発したと発表した。
 このシステムは、「遠隔分光センシングシステム」といい、周波数がテラヘルツ(1テラは1兆)レベルの電波と光の間に位置するテラヘルツ波を使い、危険ガスの遠隔リアルタイム検知を実現した。
 多くの物質は、それぞれ異なる周波数のテラヘルツ波を吸収する性質を持っている。そのテラヘルツ波の吸収パターンを測定すれば有毒ガスなどの危険物質を識別可能なことは、これまでも知られていた。
 しかし、テラヘルツ波の発生・検知技術が未成熟なため、これまでその利用が難しかった。
 産総研、NTTなどは、高出力・広帯域テラヘルツ波発生器、低雑音・広帯域ミキサー、スペクトル解析技術を開発、それらをシステム化して遠隔分光センシングシステムを実現したもので、東京理科大学火災科学研究センターの協力を得て火災現場などで発生する猛毒のシアン化水素ガスの模擬火災環境下での遠隔リアルタイム検知に成功した。
 研究グループは、「分析可能なガスの種類を拡大し、現場に持ち運びやすいサイズにまで小型化するなど、実用化に向けた研究に引き続き取り組んでいく」としている。

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新開発の危険ガス遠隔検知システム(提供:産業技術総合研究所)