小惑星「イトカワ」の微粒子、初期分析の中間結果を発表
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月11日、惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子の初期分析中間結果を発表した。微粒子の構造、元素組成などから得られた物質科学的特徴は、特定種の石質隕石の特徴と合致していることが判明した。太陽系の起源の謎を解く貴重な手がかりが得られつつあるという。
 今回分析したのは、「はやぶさ」のカプセルに入っていた0.03~0.1mm程度の比較的大きな岩石質の微粒子で、個数は50個程度。中に含まれる主要な元素の組成、三次元構造、酸素同位体比などを国内外の大学、研究機関と協力、分担して分析した。
 これまでに分かったところでは、微粒子の構造、組成などから見た特徴は「普通コンドライト」と呼ばれる種類の隕石の特徴と合致した。斜長石やカンラン石、硫化鉄といった複数の鉱物種の存在が確認され、複雑な三次元構造が認められた。太陽からの宇宙線などにさらされてできる宇宙風化の痕跡や、微粒子に含まれる希ガスの分析結果から、回収された微粒子は「イトカワ」表面に由来していることが明らかになった。
 一方、これまでのところ、生命の材料となる有機物は、確認されていない。
 「はやぶさ」は、2003年5月に打ち上げられ、「イトカワ」から岩石(千数百個の微粒子)を採取し、2010年6月に地球に持ち帰った。JAXAは、今年1月から回収試料のカタログ化などを目指して初期分析に取り組んでおり、今回は最初の成果報告。米国で開かれた「第42回月惑星科学会議」で詳細を発表した。

詳しくはこちら

走査型電子顕微鏡で捉えた岩石質微粒子の画像の一例(提供:宇宙航空研究開発機構)