実験動物のマウスのデータを世界中で共有化する取り組みに着手:理化学研究所

 (独)理化学研究所は10月30日、ライフサイエンス(生命科学)の研究に不可欠な実験動物マウス(二十日鼠)のデータを世界中で共有化する取り組みを世界の研究者と共同で開始したと発表した。
 病気の原因解明とその治療や予防などを研究する疾患研究では、「表現型」といってマウスなどを使い遺伝子が変異した場合にそれが病気としてどう現れるかを詳細に観察することが重要視されている。このため、突然変異マウスの開発や、ノックアウト・マウス(遺伝子欠損マウス)を作る実験が盛んになり、変異マウスを使っての表現型の解析が世界中で精力的に進められている。しかし、表現型データは、多面的な観察結果を記録した膨大なデータになり、調べるべき遺伝子の数も多いことから、単独の研究機関では対処しきれない事態が世界中で生じている。
 このため、同研究所とEU(欧州共同体)、米国、カナダの研究機関は、今年7月に滋賀県で開かれた「国際マウス表現型情報統合シンポジウム」において、研究の分担やデータの共有化に取り組むことを決めている。
 同研究所は、その合意にもとづき共有化する取り組みに着手したもの。
 同研究所は、「理研サイネス(RIKEN SciNeS)」と呼ぶ研究員各自のデータを研究成果物としてスムーズに外部に向け発信・発表できる大規模なデータベースシステムを既に保有している。その理研サイネスとスーパーコンピューターを接続してつくば市(茨城)の理研バイオリソースセンター(理研BRC)が生産する大規模な表現型データを効率的に取り扱うシステムを構築。英国のハウエル研究所(EU代表)、米国のジャクソン研究所、カナダのヒト疾患モデル研究センターと共に疾患研究に重要なマウス表現型データを全世界の研究者に提供していくとしている。

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