(独)産業技術総合研究所は8月4日、可視光で高い活性を示す光触媒が作れる酸化タングステン製のナノチューブを合成したと発表した。 光触媒は、光を当てると有害物質を分解したり、抗菌作用を示す機能を持ち、酸化チタンはその代表。しかし、酸化チタンは、紫外線でしか光触媒機能を発揮しないため、シックハウス症候群の原因である室内の有害な揮発性有機物質(VOC)を可視光下で効率的に分解・浄化してくれる光触媒の開発が望まれている。 新開発のナノチューブは、酸化タングステンの微結晶の集合体で、数十nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の細孔が無数にあいたナノポーラス構造を持ち、チューブの大きさは外径が300~1000nm、長さが2~20μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)。水熱法と呼ばれる簡便な方法で大量に合成できる。 この酸化タングステンナノチューブの表面に助触媒として白金微粒子をつけて、可視光を照射し、VOCの一種、気化したアセトアルデヒドを分解したところ、酸化チタンの8倍、白金助触媒を使った従来の粒子状酸化タングステンの3倍以上の高い光触媒活性を示した。 低コストで大量に合成できることから、住宅部材などへの実用化が期待される。同研究所では、今後ナノチューブの内壁、外壁に選択的に助触媒がつけられるようにもっていき、さらに高活性化を図りたいとしている。 詳しくはこちら |
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No.2008-31
2008年8月11日~2008年8月17日