[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

トピックスつくばサイエンスニュース

花の形と配色パターンを効率的に変えることに成功:農業・食品産業技術総合研究機構/京都府立大学

(2016年9月15日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構と京都府立大学のグループは9月15日、遺伝子組換え技術を使って花の形や色、柄などを多種多様に作りかえる新品種作りに成功したと発表した。花の生育や葉っぱ、茎などには影響を与えないために、元の品種と同じ育成方法で栽培できるのが特長。今回は、夏のガーデニングに使われる草花のトレニアで成功したが、他の園芸植物でも可能だという。

  植物の花の形や色などは、花器官で働く多くの遺伝子によって決まる。こうした遺伝子の働きを調整するたんぱく質が転写因子で、花の色や姿の決定に重要な役割を果たす。

 素性の良く知られたモデル植物の雑草シロイヌナズナから転写因子を取り出し、特定の機能を抑える抑制因子に変えた。この抑制遺伝子と、花器官のどこで、いつ、どのくらいの強さで働くかを決定するプロモーター役の5種類の遺伝子とを組み合わせて、トレニアに導入した。

 その結果、花の形や配色パターンを多種多様に変化させた新型トレニアを作り出すことに成功した。トレニアの葉や草姿は元の品種と変わらなかった。

 転写抑制因子と花器官の遺伝子発現を決めるプロモーターを組み合わせる方法は、他の花き園芸植物にも応用が可能で、将来、色合いや形の変わった新しい草花が、花屋の店先をにぎわすことになりそうだ。