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天敵でシイタケの害虫防除へ―新種のハチを発見:森林総合研究所

(2019年5月14日発表)

 ()森林総合研究所は514日、シイタケの菌床栽培に大きな被害を与える害虫「キノコバエ(ナガマドキノコバエ類)」の被害を防ぐ新種のハチを発見したと発表した。害虫の天敵として栽培ハウス内に放すことで被害を大幅に抑えられると期待しており、実用的な害虫駆除法の開発につなげる。

 発見したハチは、ハエヒメバチ亜科に属する新種の寄生バチの可能性が高いという。詳しく調べたところ、このハチはキノコバエの体内に卵を産み付け、体内でふ化した幼虫がキノコバエの体を食べて発育することが分かった。

 そこで天敵を用いた害虫駆除の研究を進めていた森林総研は、実験用の栽培ハウスでキノコバエに対する防除効果の検証を試みた。実験では30個の菌床を並べ、それぞれ2匹ずつのキノコバエの幼虫を害虫として放った。そのうえで、これらの菌床に天敵の寄生バチ5匹を放した「ハチあり区」と、菌床に寄生バチのいない「ハチなし区」を作り、キノコバエの幼虫に与える影響を比較・観察した。

 その結果、ハチあり区ではハチなし区に比べてサナギにまで成長したキノコバエの幼虫数が明らかに少ないことが分かった。観察を続けて次世代のキノコバエの幼虫数を調べたところ、ハチあり区ではハチなし区に比べて幼虫数が激減、およそ98%もキノコバエの幼虫の増殖を抑えられることが明らかになった。

 菌床栽培は、粉状にしたおがくずに栄養剤を混ぜたブロック状の菌床を用いたキノコ栽培法で、きのこ類生産の3割を占めるシイタケの生産に広く使われている。キノコバエの幼虫はこの菌床やシイタケを食べて増殖、短期間に栽培ハウス内で大発生して大きな被害をもたらすとして大きな問題となっていた。

 森林総研は今後、害虫キノコバエの天敵となる寄生バチの生態などを明らかにし、寄生バチを誘引・定着させたり産卵能力を向上させたりする条件なども解明、実用的な害虫防除技術につなげていく。