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学生アスリートの睡眠障害は遅すぎる就寝、早い起床が原因―深夜のアルバイトや消灯後のスマホ利用などの生活習慣の乱れも影響:筑波大学

(2018年3月5日発表)

 筑波大学体育系と国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)は35日、体育系学部に所属する運動選手にアンケート調査を実施し睡眠障害の原因を調べたところ、深夜のアルバイトなどで遅すぎる就寝と早朝の練習が強く影響し、消灯後の携帯電話やスマホ利用など生活習慣の乱れとも関連していることが明らかになったと発表した。この結果を競技選手の指導に生かし、生活習慣の改善や、早朝を避けた練習のあり方、競技意欲の持続などを考慮しつつ進めることにしている。

  調査は2016年、筑波大学など5大学の体育系学部の12年生1,875人を対象にアンケート方式で実施。きちんと回答のあった906人のデータを分析した。

 睡眠障害との強い関連があったのは「就寝時刻」と「起床時刻」だった。午前0時以降の就寝者は、午後10時台の就寝者と比べて睡眠障害リスクが約2.4倍高く、午前1時以降では約5.6倍のリスクがあった。

 同様に起床時間では、午前8時台の起床と比べると早朝練習などで午前6時台に起床する者は約3倍に、午前5時以前は約5.5倍になった。早朝練習が1週間に4日から7日(毎日)も続くとリスクは約1.9倍に増える。

 深夜アルバイトはやらない者に比べ約1.8倍に増え、消灯後にスマートフォンや携帯電話を使うと1.6倍になった。また競技への意欲を失った者は最高で1.8倍に、メンタルヘルスを抱えている者は約2.8倍だった。

 睡眠障害のリスク要因について、生活習慣、競技活動、メンタルヘルスを含めて包括的に検討したもので、睡眠コンディションを改善するポイントを明らかにした。

 一般人の睡眠障害では同じようなリスク要因が報告されているが、学生運動選手について実証調査を実施したのは初めてだという。