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優れた電気的特性を持った半導体薄膜の開発:筑波大学

(2017年12月5日発表)

 筑波大学数理物質系の都甲薫准教授らの研究グループは、ゲルマニウム(Ge)を用い、ガラス上に合成されたものとして優れた電気的特性を持った半導体膜の開発に成功した。

 Geは、光検出器や高効率な太陽電池の材料として利用され、シリコンに代わる高性能なトランジスタの材料として注目されている。ガラスやシリコン酸化膜は絶縁体であるが、この上にGeの薄膜を付ける事で、高性能な導電性ガラスなどを作ることが出来、ディスプレイや薄膜太陽電池の高性能化が期待される。

 基板や素子にダメージを与えないように、Geの薄膜をガラスに付けるには500℃以下で行うことが望ましい。今回は、簡便な固相成長法を用い、450℃以下でガラス上に多結晶Ge薄膜を合成する事で、Ge薄膜の結晶の粒が劇的に大きくなり、飛躍的に電気を通し易いものを作る事に成功した。

 また、ガラスに薄膜を付ける温度を375℃まで下げることができれば、耐熱温度が400℃のポリイミドというプラスチックに薄膜を付け、柔らかく曲げる事が可能なフレキシブル・デバイスが作れるようになると期待されている。

 本研究で構築した結晶成長の技術や知見は、Geに留まらず、Ⅳ族混晶半導体や化合物半導体など、様々な薄膜材料への応用が可能だと期待される。