大津波をもたらした巨大すべりの発生要因を解明―日本海溝沈み込み帯プレート境界断層の掘削調査で:海洋研究開発機構/筑波大学
(2025年12月16日発表)
(国)海洋研究開発機構(JAMSTEC)、筑波大学、米ネバダ大学などの国際研究チームは12月16日、東北地方太平洋沖地震を引き起こした日本海溝沈み込み帯プレート境界断層浅部の掘削調査から、なぜ巨大なすべりが起こったのかを明らかにしたと発表した。
2011年の東北地方太平洋沖地震で発生した巨大津波は、日本海溝におけるプレート境界断層の巨大なすべりによるもので、そのすべりには断層に含まれる非常にすべりやすい粘土鉱物が寄与したことが、2012年に実施した国際深海科学掘削計画の研究航海JFASTによって判明した。
しかし、当時の調査では断層からのコア試料採取は一点に留まっており、断層の構造や断層すべりがどのような空間的広がりを持っていたのか、そしてなぜ巨大なすべりが起きたのかの全貌は未解明だった。
このため、2024年の研究航海JTRACKでは、地球深部探査船「ちきゅう」を用いてプレート境界断層の掘削とコア試料の採取を複数の掘削地点で実施し、プレート境界断層の地質構造と構成岩石を詳細に調査した。さらに、沈み込む前の太平洋プレート上の試料も採取し、断層の形成過程も検討した。
その結果、プレート境界断層の上端位置は、水平距離100mの範囲で15mも上下していることが分かった。しかし、この凹凸断層は2011年の地震時に発生した巨大すべりを止められなかった。プレート境界断層の上下の岩石を調べると、密度やP波速度といった物理特性が断層を挟んで異なっていた。断層より上では高い密度・高いP波速度、下では低い密度・低いP波速度だった。
このような物理特性コントラストがある場所に、非常にすべりやすい粘土鉱物に富む断層ガウジ(非常に細かく粉砕された岩石)が形成され、そこに地震時の変形が集中することで、巨大なすべりが起きたことが明らかになった。
すなわち、沈み込む泥岩と遠洋性粘土の間の物理特性の差が成す境界に、薄い断層ガウジが形成され、そこに変形が集中することでプレート境界断層における巨大すべりが生じたと考えられるという。
今後、国際深海科学掘削計画の掘削研究で得られる情報を駆使し、日本海溝における巨大地震の発生メカニズムの解明に取り組んでいきたいとしている。



