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温室効果ガス 前年度比3%減―再生可能エネなど寄与:環境省/国立環境研究所

(2016年12月6日発表)

 環境省と(国)国立環境研究所は12月6日、2015年度の日本の温室効果ガス排出量(速報値)を発表した。総排出量は13億2,100万t(二酸化炭素換算)で、前年度に比べて3%減となった。省エネの進展に伴って電力の消費量が減少したことに加え、再生可能エネルギーの導入拡大によって二酸化炭素(CO2)の排出量が減少したことなどが影響した。

 地球温暖化の原因の92.6%を占めるCO2の総排出量は12億2,300万tと、前年度比3.4%減だった。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が本格的に始まった2012年以降、太陽光発電や風力発電の設備容量が年々急速に増大していることなども、温室効果ガスの削減に効果を発揮した。

 排出量を部門別でみると、CO2排出量全体に占める割合が2番目に高い飲食店やオフィスビルなどの「業務その他部門」で5.7%減、4番目の「家庭部門」が4.8%減、5番目の発電所など「エネルギー転換部門」は5.4%減だった。一方、排出に占める割合が最も高い工場などの「産業部門」は2.1%減、3番目に高い自動車などの「運輸部門」は1.8%減にとどまった。

 CO2以外の温室効果ガスではメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)とも前年度比でそれぞれ2.4%減、0.9%減となった。これに対し、冷蔵庫などの冷媒として使われる代替フロンのハイドロフルオロカーボン類(HFCs)は前年度比10.2%増、10年前の2005年比では209%増と大幅に増加した。

 これら全温室効果ガスの排出量について過去10年間の推移をみると、増減を繰り返していることがわかる。2005年に比べると2015年には5.2%減となった一方で、2009年から2013年までの5年間はむしろ増加していた。