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新型コロナの治療で病院職員が受けた心理的苦痛を解明―アンケート調査を実施、結果を発表:筑波大学

(2023年5月1日発表)

 筑波大学は、猛威を振るい今なお終息していない新型コロナウイルス感染症の治療にあたってきた病院職員へのアンケート調査を行い5月1日、その結果を発表した。茨城県内の7つの病院の職員を対象にして調査したもので、これまで不明だった新型コロナ治療における病院職員の職種別の心理的苦痛の状況などが明らかになったという。

 新型コロナウイルス感染は、家族などへの二次感染、差別や偏見、などさまざまなことを引き起こしているが、メンタルヘルス(心の健康)への影響も大きな問題で、病院の医療従事者の心の健康の悪化は世界中で報告されている。

 しかし、日本国内の新型コロナウイルス感染症対応病院における医師・看護職といった職種別のメンタルヘルスの実態を検討した例は限られ、新型コロナウイルスへの恐怖感と「レジリエンス」と呼ばれる恐怖を乗り越える回復力との関連なども分かっていない。

 今回の研究は、筑波大学医学医療系の太刀川 弘和教授、新井 哲明教授、山懸 邦弘教授らの研究チームが茨城県の新型コロナウイルス感染症患者の治療にあたってきた7つの病院の職員を対象にしてオンラインでアンケート調査を行い病院職員の職種別の心理的苦痛、新型コロナウイルス感染症への恐怖感、レジリエンスを調べた。

 調査は、2020年12月24日から2021年の3月31日まで実施した。調査では、新型コロナウイルス感染症関連業務の経験、所属している病院の同業務への取り組み方などについての情報が634人の病院職員から得られ、それを解析した。

 その結果、①新型コロナウイルス感染への恐怖は、医師では低く、看護職や事務職で高い②一方、レジリエンスは、医師で高く、看護職・薬剤師・検査技師・事務職などで低い、など職種により感じ方に違いがあることが分かった。

 このことから、感染の拡大に対応する病院職員のメンタルヘルスケアにあたっては、病院の各種職員が互いに協力しあう幅の広い支援体制が重要であると指摘している。

 この調査は、コロナ禍の渦中で行われた。現在は、ポストコロナの時代に突入しつつあることからメンタルヘルスの実態も変わってきていると研究チームは見ており、それに対応するため「今回の研究をふまえポストコロナ時代における医療従事者のメンタルヘルスに関する調査を(今後)実施する予定」と話している。