中国の黄砂が地球を一周する様子を初めて解明
:国立環境研究所/九州大学/東京大学

 (独)国立環境研究所は7月21日、九州大学、東京大学との共同研究で中国の黄砂(土壌起源ダスト)が地球を一周以上していることが分かったと発表した。
 中国の内陸域で発生する黄砂が日本に飛来するのは古くから知られ、まれに北米大陸にまで達することも報告されている。しかし、太平洋には限られた観測点しかなく、これまで長距離輸送の詳細はよく分かっていなかった。
 同研究所と九大、東大の研究グループは、「SPRINTARS(スプリンターズ)シミュレーション」と呼ぶ全地球のエアロゾル輸送モデルと、NASA(米航空宇宙局)のレーザーレーダー搭載衛星「カリプソ」による計測結果、日本の国立環境研究所がアジア域に展開する地上レーザーレーダー・ネットワークの計測結果を総合的に解析するシステムを開発し、高空に舞い上がった黄砂が地球を一周する様子を世界で初めて明らかにした。
 それによると、中国のタクラマカン砂漠で発生した大規模なダストは、対流圏の上部(高度7~10km)にまで運ばれ、偏西風に乗って地球を約13日で一周している。
 SPRINTARSシミュレーションでは、タクラマカン砂漠から2日間で約80万tの黄砂が舞い上がり、世界一周した後もその10%の量がなお大気中に滞留していると出た。
 シミュレーションの結果は、宇宙と地上のレーザーレーダーの計測結果とよく一致しているという。
 この研究成果は、英国の地球科学専門月刊誌「ネイチャー・ジオサイエンス」の電子版に7月20日掲載された。

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