ダイエット食でマウスが早起きになることを発見
:産業技術総合研究所/女子栄養大学

 (独)産業技術総合研究所は7月24日、女子栄養大学と共同で、炭水化物を少なくしたダイエット食によってマウスが早起きになることを発見したと発表した。
 このダイエット食による早起き効果は、活動時間帯が後退した“夜更かし朝寝坊”型のマウスでも確認され、薬剤に依存しない睡眠障害治療や時差ぼけ改善への応用が期待される。
 最近は、社会活動の24時間化に伴い、様々な睡眠障害が社会問題となってきている。それら一連の睡眠障害の発症には、時計遺伝子と呼ばれる一種の体内時計が関係していると考えられているが、その詳細なメカニズムはまだ分かっていない。
 同研究所と女子栄養大の研究グループは、体内時計と栄養の関係に注目して、食による睡眠障害の改善を目指して研究を行ってきた。
 人間を含む哺乳類では、脳だけでなく、心臓や肝臓、腎臓などほぼ全ての臓器で時計遺伝子の働きが認められている。今回の成果は、低炭水化物ダイエットともいわれる食物中の炭水化物の含有量を極端に少なくし、その分、脂肪の含有量を多くするダイエット法の「ケトン体ダイエット」が時計遺伝子の働きに作用し、体内時計を早める効果があることを見つけたもの。
 マウスの通常の餌は、炭水化物を50%程度含んでいるが、それを僅か0.75%にまで減らしたケトン体ダイエットを調製し、14日間与え続けて時計遺伝子「ピリオド2」の働きを調べた。その結果、ピリオド2の最も良く働く時刻が4時間から8時間程度早くなることが判明した。
 このケトン体ダイエットによる早起き効果は、夜更かし朝寝坊型にした時計遺伝子の壊れた変異マウスでも確認している。
 ケトン体ダイエットによる体内時計制御のメカニズムについては、まだ不明な点も多く、今後は分子メカニズムの解明を目指すことにしている。

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