水素研究の新戦力「NOVA」が完成
:高エネルギー加速器研究機構

 高エネルギー加速器研究機構は6月2日、東海村(茨城)の大強度陽子加速器研究施設(JPARC)に完成した「中性子全散乱装置(NOVA)」の披露式典を行った。
 NOVAは、同機構が(独)日本原子力研究開発機構、京都大学、山形大学などと共同開発した中性子を利用して水素貯蔵物質の水素の貯蔵・放出過程などを調べる施設。(独)新エネルギー・産業技術総合研究開発機構(NEDO)の水素貯蔵材料先端基盤研究事業として建設されたもので、高エネ機構物質構造科学研究所の下村理所長は式典で「NOVAを使って水素貯蔵という先端技術の研究に全力で取り組みたい」と語った。
 中性子は、物質中の水素や炭素など軽い元素の識別能力に優れている。水素は、夢の無公害エネルギーとして注目され、その貯蔵には水素の吸蔵・放出を繰り返す水素貯蔵物質の利用が有望視されているが、NOVAを使えば水素の吸蔵・放出過程などを原子レベルで解析でき、高性能な水素貯蔵物質の開発につながるものと期待されている。
 NOVAは、長さ約5m、幅同3m、高さ同3.5m。中性子検出器を最大で1,400個設置でき、現在約200個設置していが、夏頃までに半数の設置を終える計画で、来年4月から本格利用を開始する予定。

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完成したNOVAの施設。NOVAは、写真前方の茜色に見える遮蔽体の中に設置されている(提供:高エネルギー加速器研究機構)