「種なしスイカ」用花粉の長期保存技術を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の北海道農業研究センター(札幌市)は6月3日、これまで難しかった「種なしスイカ」用花粉の長期保存を可能にする新技術を開発したと発表した。
 種なしスイカは、雄しべの花粉にX線を当てて部分的に不活性化した花粉を作り、その花粉を使って既存の品種を種なし化するという方法で作られ、広く実用になっている。それは、朝早く雄花を採取し、花弁を取り除いて軟X線(エネルギーの低い透過性の弱いX線)を照射、その日の午前中に人工授粉させるという方法だが、雄花の採取から人工授粉までの全作業を当日の午前中に終えねばならず、大量の種なしスイカを栽培するには多大な労力がいるという大きな問題を抱えている。
 新技術は、この難問を解決するX線照射花粉の長期保存に成功したもので、軟X線を照射したスイカの花粉を真空保存用袋に入れ、窒素ガスを封入した後、マイナス25゚Cで冷凍保存するという方法(特許出願済み)。花粉採取から冷凍保存までを専門業者が行い、スイカ生産者はそれを購入して人工授粉させる仕組み。これまでと違い生産業者は、いつでもすきな時に人工授粉作業を行うことができる。
 冷凍保存した不活性化花粉は、1年間保存しても約50%の花粉発芽率を記録しており、「1年以上保存できる」と同研究センターではいっている。

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