堆肥作りの決め手「通気性」が簡単に測れる装置を開発
:農業・食品産技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は6月2日、家畜ふん尿の質の良い堆肥作りの決め手となる「通気性」を非熟練者でも簡単に測れる装置を開発したと発表した。通気性確保に必要な副資材の混ぜ具合の調整などが出来るので、同機構としては今後、測定例を増やしながら、作業手順のマニュアル化などを進め、実用化を図って行く。
 家畜ふん尿などを効率的に堆肥にするには、空気が通り易いようにすることが肝心だ。そのため、堆肥化の前にオガクズなどの副資材を混ぜて堆肥原料とし、この堆肥原料の水分を55~72%程度に調整するのが目安とされてきた。しかし、通気性の測定機器が無かったことなどから、堆肥化の現場では、この水分測定が難しく、堆肥原料の調整は熟練作業者の経験任せなのが実情だった。
 そこで、農研機構は、副資材を混合した堆肥原料の通気性の評価技術開発のため、平成17年度から、乳牛ふん尿を使って通気量と堆肥原料の通気抵抗の関係などの基礎データを集め、それらを下地に測定装置を試作して性能を調べた。その結果を踏まえ、平成20年度に茨城県、埼玉県などの通気型堆肥舎で実地試験した。測定装置は、試料の堆肥原料を詰める小さなバケツほどの容器と、その上に載せる計測器から成っている。
 堆肥作りでは通常、堆肥原料1m3当たり毎分100ℓ程度の空気を供給しているので、この条件で通気した時の通気抵抗を測る。堆肥原料に求められる通気性は、現場によって違うので、予め堆肥化が上手に進んでいる時のデータを採っておき、通気性が悪いと思われる時には蓄積データに基いて良い状態になるまで、副資材を混ぜることで通気性を改善する。1回の測定時間は、約3分30秒。一般に堆肥原料はムラが多いので、堆肥全体の通気性評価には測定点が多い方が望ましい。

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新開発の通気抵抗測定装置(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)