火山灰土中のイオウを測定する方法を開発:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は5月11日、火山灰土中に貯め込まれたイオウを測定する方法を開発、この新分析法を使って日本に広く分布する火山灰土中のイオウの蓄積状態を調査したところ、日本の火山灰土は欧米の土壌の数倍ものイオウを貯めていることが分かったと発表した。
 土中に貯留するイオウの総量は、これまでにも報告されているが、土の中に安定して長く留まることができるイオウ成分である[1]土の粒の中に侵入している硫酸イオン、[2]金属と結合しているためなかなか分解しない有機物中のイオウ、についてはどのくらい土の中に含まれているのか分かっていなかった。
 そこで同所は、これらを分けて分析する方法を開発し、火山灰土に貯まっているイオウ量とその量を規定する土壌成分を明らかにした。その結果、土中に保持されていたイオウの1割が土の粒の中に侵入している硫酸イオン、2~3割が金属と結合している有機物中のイオウであることが分かった。
 この研究成果から、[1]土壌中のイオウは火山灰の成分としっかり結合しており、欧米に比べて日本の森林土壌は酸性化が進まず、養分流出やアルミニウム溶出が起きにくい、[2]火山灰の風化産物の量を調べることで土壌酸性化の起き易さを予測することができる―ことが判明したとしている。

詳細はこちら