炭化ケイ素製次世代インバーターの実現目指し共同研究
:産業技術総合研究所/富士電機アドバンストテクノロジー

 (独)産業技術総合研究所は5月15日、次世代の半導体デバイス(半導体素子)として期待されている炭化ケイ素(SiC)デバイスの量産試作研究と応用実証研究を富士電機アドバンストテクノロジー(株)と共同で行うことになったと発表した。
 炭化ケイ素は、シリコンより絶縁破壊耐性などが優れ、パワーデバイス候補として急浮上している。中でも注目されているのがインバーター(電力変換器)への利用。ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車などに炭化ケイ素製インバーターが使えるようになれば、従来型のシリコン製より出力パワー密度を一桁アップできると見られている。
 しかし、炭化ケイ素デバイスを用いたインバーターは、まだ実用のレベルにまで達していない。理由は、デバイス開発を行っている企業と、インバーターに応用するシステムの開発を担う企業が異なり、多数のデバイスチップを必要とするインバーターの開発が難しいからだといわれる。
 同研究所は、「死の谷」を乗り越えて新産業の創生を図るため、企業と連携して短期間(2~3年)で目に見える成果を出す産学官連携の仕組み「産総研産業変革研究イニシアティブ」を進めているが、その一環として炭化ケイ素デバイスを用いたインバーターの共同研究を富士電機アドバンストテクノロジーと行うことにしたもの。
 両者は、実用レベルの炭化ケイ素製デバイスチップの生産技術を確立してインバーター開発に必要な相当量のデバイスチップの早期供給を実現する共同研究をすでに開始している。

詳細はこちら