月周回衛星「かぐや」が定常運用を終了、後期運用を開始
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月5日、月周回衛星「かぐや」が定常運用を終了して11月1日から「後期運用」に入った、と宇宙開発委員会に報告した。
 「かぐや」は、来年3月中旬までは現在の高度100kmの円軌道からの観測を続け、データの高度化、品質向上を図る。それ以降は、高度50kmの円軌道、次いで高度20~100kmの長円軌道での低高度運用に移り、可能な限り観測を続ける計画という。
 「かぐや」は、2007年9月14日にJAXAが打ち上げた月探査機で、その主な目的は月の起源と進化の解明と将来の月の利用のための様々な観測にある。このため、「かぐや」は月の南北極を通る円軌道を回る主衛星と、長円軌道を飛ぶ2機の子衛星で構成され、これらの衛星にはハイビジョンカメラや蛍光X線分光計、ガンマー線分光計、月レーダーサウンダーなど14種の観測機器が搭載されている。
 「かぐや」の定常運用は、昨年12月21日から今年10月31日まで10カ月余り続けられ、この間、月全域にわたって行った鉱物分布、地形・表層構造、重力分布、磁場分布、月環境などの計測では望み通りの観測データを得た。元素分布は、ガンマー線分光計の不具合で約4カ月観測が中断したが、定常運用中に修復、後期運用中も観測する。その他、月磁場観測装置などによる月磁場の3次元的分布観測、ミニ磁気圏に関するデータ取得なども行う。
 さらに「かぐや」のハイビジョンカメラは、「満月」ならぬ「フル・アース(満地球)」の出・入り画像を地球に送ってきた。また、地形カメラは、月南極のシャックルトンクレーター底の永久陰を撮影、水氷がクレーターの底表面に露出して多量に存在する可能性は無いことを明らかにした。

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