有機ナノチューブの大量製造法を開発:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月24日、有機ナノチューブの大量製造法を開発したと発表した。従来法の200倍以上の量を5分の1以下の時間で製造できるという。
 有機ナノチューブは、1984年に日米の独立した3つの研究チームが発見した大きさがnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)オーダーの超微細な中空繊維状の物質で、DNA(デオキシリボ核酸)やタンパク質などの分離をはじめ、医療・バイオ・エレクトロニクスなど様々な分野での利用が期待されている。
 同研究所は、これまでに2種類の量産可能な有機ナノチューブを開発している。今回、それらとは異なる表面に金属イオンを持つ3種類目の有機ナノチューブを開発すると共に、生産性を従来より格段にアップすることに成功した。
 (独)科学技術振興機構の委託研究として行ったもので、アミノ酸の一種のグリシンが2つ結びついたグリシルグリシンと呼ばれる原料物質をエタノールなどのアルコール中に分散させ、金属塩(酢酸亜鉛など)の水溶液を加えるだけで、10分以内に有機ナノチューブができてくる。金属塩を構成する金属イオンによって、有機ナノチューブの内外表面の金属イオンは変わり、これまでに亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、鉄、マグネシウムなどの金属イオンを表面につけることに成功している。

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金属イオンを持つ有機ナノチューブの走査電子顕微鏡写真(提供:産業技術総合研究所)