(独)産業技術総合研究所は9月10日、AGCエスアイテック(株)と共同で抗体医薬の精製工程に用いるクロマトグラフィー用の高性能アフィニティー担体(ビーズ)を開発したと発表した。
生体分子間の特異的な親和性を利用して生体分子を精製するクロマトグラフィーでは、特定の生体分子を特異的、かつ可逆的に吸着する能力をもつ不溶性の担体がいる。
そこで、シリカ(二酸化ケイ素)のビーズの表面に、抗体を捕らえるリガンドタンパク質(抗体を認識して結合するタンパク質)の配向を制御して固定化することにより、抗体の結合量を大幅にアップ、副作用の少ない抗体医薬品を高品質・低コストで生産出来るようにした。
開発したアフィニティー担体は、1mlに代表的な抗体「IgG」の分子を90mg結合させることができる。この結合能力は、市販品の1.8倍にあたる。産業用の大量精製プロセスでは高速処理するために、抗体とリガンドタンパク質との接触時間は0.83分と極めて短いが、今回開発した担体は、世界的にみても最高レベルにあるという。
抗体医薬は、抗体が生体内の異物を認識する性質を利用した医薬品。患部だけをピンポイントで攻撃するので副作用が少なく、従来タイプの医薬品では難しい難病の治療や、高い効能が期待されている。
No.2007-36
2007年9月10日~2007年9月16日