月周回衛星「かぐや」の打ち上げに成功
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は9月14日、月周回衛星「かぐや」(SELENE=セレーネ)を搭載したH-IIAロケット13号機を同日午前10時31分、JAXAの種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から打ち上げ、約45分後に「かぐや」を地球を回る大きな長円軌道に乗せることに成功したと発表した。「かぐや」は、約3週間後に月の軌道に投入され、約40日後に定常観測軌道に移り、12月から定常観測を開始する予定。
 今回からロケットの打ち上げ業務が三菱重工業に移管され、同社がH-IIAの製造から打ち上げまでを一貫して担当することになった。
 「かぐや」は、月の起源と進化解明のため、月やその周辺での科学探査と将来の月面活動や月利用に向けた月面の環境調査をする月衛星で、重さ約3tの主衛星と、同50kgの子衛星2基で構成され、全部で14種類の観測機器を積んでいる。
 主衛星は、月の南北極を通る高度約100kmの円軌道を回りながら約1年、月の全球観測を続ける。子衛星の一つ「VRAD」は、遠月点800kmの長円極軌道を回り、電波を送信することで月周辺の重力場を測る。もう一つの子衛星「リレー」は、遠月点2400kmの長円極軌道を回り、月の裏側の重力場計測のため、主衛星と地上局との間の通信中継に当たる。
 「かぐや」の観測項目とそのための観測機器は、次のとおり。
[1]元素分析=蛍光X線分光計、ガンマ線分光計
[2]鉱物分析=マルチバンドイメージャー、スペクトルプロファイラー
[3]地形・表層構造=ステレオ地形カメラ、月レーダーサウンダー、レーザー高度計
[4]月面環境=月磁場観測装置、粒子線計測器、プラズマ観測装置
[5]地球プラズマ環境=プラズマイメージャー
[6]月の重力分布=リレー衛星中継器、衛星電波源
[7]月面からの「地球の出」などの画像取得=高精細映像取得システム
 「SELENE」とは、「selenological and engineering explorer」(月の科学観測と基盤技術の検証を行う探査機)の略である。

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上昇するH-IIAロケット13号機(提供:三菱重工業)