可視光は透過、熱線は反射するクールなガラスを開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は6月25日、太陽から降り注がれる可視光の約8割を透過し、赤外線(熱線)の約半分を反射する機能を持つ「日射熱反射ガラス」を開発したと発表した。
 このガラスは、日射による採光を確保しつつ熱作用の強い近赤外線を効果的に反射してくれるため、ビルや家屋、車両などの窓ガラスに使えば大きな省エネ効果が期待できる。今後さらに赤外線反射特性の向上を図ることにしている。
 研究者は、代表的な薄膜形成法の一つであるスパッタリング法を用いてガラス基板上に酸化チタンと酸化ケイ素を主原料とした積層構造を形成。各層の厚さをnm(ナノメートル。1nmは10億分の1m)単位で制御することにより波長選択性の高い熱線反射を実現した。開発した日射熱反射ガラスの昼光(薄い雲のある東向きの青空)に対する可視光透過率は82%(実測値)で、日射中の赤外線エネルギーに対する反射率は約50%と概算されている。
 日射エネルギーの波長分布は、紫外線約6%、可視光約46%、赤外線約48%で、明るさに寄与しない赤外線が半分近くを占めている。冷房が必要な夏の昼間、建物に流入する熱量の71%は窓から入り込むと言われる。この日射熱反射ガラスによって、採光や展望を妨げずに、窓から入る熱が半減されれば、それだけ冷房用エネルギーが軽減されることになる。

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開発された日射熱反射ガラスのサンプル(提供:産業技術総合研究所)