イネ遺伝子全体の働きを同時に解析できるDNAチップを開発
:農業生物資源研究所

 (独)農業生物資源研究所は6月26日、イネが持つ約3万2000個の遺伝子全体の働きを同時に解析できるDNA(デオキシリボ核酸)チップ「イネ44Kマイクロアレイ」を開発したと発表した。
 2004年12月にイネの全塩配列(3億9000万塩基対)の完全解読(構造解析)が達成され、さらに今年1月には国際共同プロジェクト「イネ・アノテーション計画」により、イネゲノム(イネの全遺伝情報)に存在する遺伝子数が約3万2000個と発表された。しかし、その中には機能が未知な、あるいは機能が十分に解明されていない遺伝子も多数含まれており、個々の遺伝子の機能解明の研究が重要な課題として残されている。
 新開発の「イネ44Kマイクロアレイ」は、同研究所がイネゲノム解析研究で得られたイネゲノムの全塩基配列情報など個々の遺伝子に特有な塩基配列情報や、アジレント・テクノロジー(株)が持つ最先端のマイクロアレイ作製手法を利用して作製されており、50~400ng(ナノグラム。1ngは10億分の1g)という微量のmRNA(メッセンジャーリボ核酸)で遺伝子発現解析を行うことができる。
 また、アレイ上に搭載されているプローブ(個々の遺伝子に特有な塩基配列に対応するDNA配列)は、「イネ・アノテーション計画」のデータベース上の遺伝子情報から設計されているため、解析データをデータベースと対応させて分析すると、発現している遺伝子を簡単に特定できる。  
 「イネ44Kマイクロアレイ」は、アジレント・テクノロジー(東京・八王子市)から販売されることが決まっており、イネの科学的基礎研究や農業・産業分野における応用・実用的研究で幅広い利用が期待されている。

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