紫外線を高効率で発する半導体材料を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は5月24日、酸化亜鉛に数%から十数%のマグネシウムを混合することで、紫外線を高効率に発光する半導体材料を開発したと発表した。
 窒化ガリウム系化合物など従来から知られている紫外線発光半導体は、いずれも発光波長が短くなるに連れて発光効率が減少する弱点を持っていた。それに対し今回開発した半導体は、マグネシウム濃度が増すに連れて発光波長が短くなり、強度が強まり、発光効率が増大する。
 研究者たちは、超高真空容器中で原料元素を蒸気にして基板に噴射する手法(分子線エピタキシャル法)でサファイア単結晶基板上に酸化マグネシウム、酸化亜鉛、マグネシウム混合酸化亜鉛の薄膜単結晶を下からこの順に積み上げた。こうして得たマグネシウム濃度の異なる3種類の試料を絶対温度1.4K(マイナス271.8ºC)に冷やし、紫外線レーザー光を照射、試料の発光特性を調べた。
 その結果、マグネシウム濃度が5%では発光強度は波長約360nm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)で最も強くなり、15%では波長340nmで最強となった。これまで作成が非常に困難だったマグネシウム混合亜鉛の高品質薄膜結晶ができたことで、見過ごされてきたマグネシウム混合亜鉛の潜在能力が明らかになったと言える。

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