電気伝導率の高いカーボンナノチューブの簡便な合成法を開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は3月15日、高い電気伝導率を示すカーボンナノチューブ(超微細な管状炭素分子)の合成法を考案したと発表した。簡便な気相成長法を用い、合成の際にホウ素を添加する方法で、絶対温度(K)零度近くになっても伝導率がほとんど低下しない。
 LSI(大規模集積回路)のナノ配線やカーボンナノチューブFET(電界効果トランジスタ)、透明電極、電子放出材料など、様々な分野への応用が期待されている。
 新合成法は、メタノールを原料とし、ホウ素を添加するためのホウ酸をあらかじめ原料に溶解し、シリコン基板に金属触媒を塗布した後、電気炉の中に置き、気相成長法で原料蒸気により基板上にカーボンナノチューブを作製する。
 実験では電気伝導率を評価するため、電子線リソグラフィー法を用いて、1本の多層カーボンナノチューブに4つの端子を設けて室温から極低温までの伝導率を測定した。その結果、一般のカーボンナノチューブが低温で伝導率が低下し絶縁体になるのに対し、0.6K(マイナス272.5℃)まで高い伝導率を保つことが認められた。ホウ素濃度は、原料に添加するホウ酸の濃度により制御可能で、様々な特性のカーボンナノチューブを作り分けることができる。

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