(独)農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所、(株)フジタ、三菱マテリアル(株)の共同研究グループは3月12日、アブラナ科の植物「ハクサンハタザオ」を利用した実験で、土壌に含まれるカドミウム濃度が低減する効果を確認したと発表した。 植物を利用して土壌に含まれるカドミウムを吸収・回収するこの技術は、ため池の底泥土などをリサイクルするための技術研究の一環として開発された。 研究では、まずカドミウム含有土を用いた室内や屋外での植物の試験から、ハクサンハタザオのカドミウム吸収力が最も高いことを確認した。ハクサンハタザオは、我が国に広く分布するアブラナ科シロイヌナズナ属の多年草で、4月から6月ごろに白い花を咲かせる。 続いて、カドミウムを含んだ土壌でハクサンハタザオを栽培する屋外栽培試験を行い、ハクサンハタザオが除去した土壌のカドミウム量は、植物体の吸収したカドミウム濃度から計算して、1ヘクタール当たり3,000gであることが分かった。また、収穫したハクサンハタザオを乾燥し燃焼処理する時にカドミウムを揮発させないで回収するには、燃焼温度を400~500℃にすることが必要であることも確認した。 ハクサンハタザオは、カドミウム以外に亜鉛も高濃度で吸収する。共同研究では、ハクサンハタザオを燃焼処理してカドミウムを分離した後、亜鉛を回収する方法も開発した。 今後は、野外実証試験を継続して技術やコストなどについて評価を行い、カドミウムの実用的な回収技術の完成を目指すことにしている。 詳しくはこちら(PDF) |  |
花をつけたハクサンハタザオ(提供:農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所) |
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