(独)農業・食品産業技術総合研究機構と日本製粉(株)は12月12日、世界で初めて甘い (甘味種) コムギを共同開発したと発表した。 コムギの種子の70%は炭水化物で構成されている。そのほとんどはでんぷんで、それを量的・質的に改変できればコムギ粉加工製品の品質改良や新しい製品開発に結びつくと考えられている。 同研究機構では、コムギのでんぷんを構成しているアミロースとアミロペクチンという二つの物質の比率や質を、遺伝子組み換え技術を使わずに交配で変える研究を進めてきた。今回の甘味種コムギは、効率的な新品種育成技術として世界的に注目されている「DNA(デオキシリボ核酸)マーカー選択技術」という手法を使って実現した。 開発した甘味種コムギは、マルトース(麦芽糖)を中心とするオリゴ糖を多く含んでおり、糖度は22.2%と通常のコムギの2倍以上になっている。マルトースは、砂糖と比べると甘さが低く、質の違う甘さを与える甘味料として知られる。 トウモロコシには、スイートコーンといわれる甘味種が存在するが麦類にはなく、コムギで甘味種を開発したのは世界で初めて。 甘味種コムギを製粉した粉は、パンやケーキなどに独特の風味を加味できると考えられており、日本製粉は数年後には新品種から作った小麦粉を販売したいとしている。 |