360度どこからでも見られる表示装置を開発
―どの方向からも画像が自分の方を向いてように見える
:産業技術総合研究所(2016年5月9日発表)

 (国)産業技術総合研究所は5月9日、360度どの方向から見ても画像が自分の方を向いているように見えるディスプレイを開発したと発表した。

 構造や技術内容は、明らかにしていない(特許出願中)が、静止画ディスプレイのプロトタイプ機を製作して実証することに成功している。

 情報の分野では、だれでも利用できる製品やサービスを設計するユニバーサルデザインが緊急性の高いテーマとして注目を集めている。

 しかし、その設計は、画像などの表示を正面から見ることを前提としているため、限定された位置(角度)からでしか見やすい表示にならないという課題を解決できずにいる。

 また、これまでのディスプレイは、平面を単純に曲げた曲面や、それらを複数組み合わせた表示方法であるため360度どの方向から見ても見やすい表示が見られるようにするのは困難と見られてきた。

 産総研は、「特殊なレンズによる独自の表示技術を開発(特許出願中)し、どの方向からも表示の正面が利用者を向いているように見えるディスプレイのプロトタイプを製作した」としているだけで、どのような構造なのかについては発表していないが、静止画像だけでなく、動画のディスプレイも特許出願中の技術で作れるとしている。

 ディスプレイのサイズも今回試作した手の平サイズの小さなものからビルの壁面向けなどまであらゆるサイズに適応できるとし、大規模イベントの会場や、駅、病院などの公共施設の案内板や標識から小は文房具、玩具にまで幅広い利用が期待できると見ている。

 産総研は、動画用のディスプレイの試作を現在進めており、2020年までに公共スペースやイベント、展示会、商業施設など業務用の実用化を図り、2030年までに家庭でも利用できるようにもっていきたいとしている。

 このため、国や自治体、民間企業への技術移転を進める計画。

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